【救急車】 2008.01.09
私が中学生の頃の話です。
ある日のことでした。学校が終わり、友達と帰宅していた時のことです。家の近くまで来た頃、救急車が止まっているのが見えました。それを見た瞬間、いつかはこんな日が来るのではないかと思っていたことが、現実になったと思いました。近所の誰かに何かがあったとは思わず、妹に何かがあったのだと確信に近いものを感じました。
体は宙に浮いているかのようで、歩いているという実感が感じられなくなりました。内心は動転していた私は、友達にそれを悟られないように平静を装い、いつもと同じ歩調で歩きました。いろんな思いが頭の中をかけめぐり、友達の話している内容はほとんど頭に入ってきませんでした。
家に着いて、近所の人に、「お母さんも一緒に乗って行ったけど、大丈夫だからね」と言われ、状況を飲み込めないまでも、それほど大変な事態ではないことが分かりました。何が起こったのか、詳しく聞かされたのは、数日後のことでした。
当時、母が免許を持っていなかったので、妹は養護学校まで、バスで送迎されていました。そのバスが家の前に到着し、妹が家に向かって道路を横断している時、前に止まっていた車が、急にバックしてきて、妹と母にぶつかったというのです。妹は足を、母は手を怪我しました。
その車には、同じように障害を持った子供が乗っていて、その子の母親がサイドブレーキをせずに車から離れ、中に乗っていた子供がギアを動かしたために起こった事故でした。知り合いということもあって、示談にはしたものの、その後、反省しているようには思えない出来事、むしろ妹や母に非があるかのように、第三者に伝えているというようなことも聞き、その親子との付き合いはそれ以来していません。
母の怪我はわりとすぐに治りましたが、妹の足はしばらく腫れがひきませんでした。後遺症のため、つい数ヶ月前も少し腫れました。それに、普段は、一人で自由に動きたいタイプの妹が、突然、私の腕をギュッとつかんだことがあったのです。事故から十数年経ったある日、散歩をしている時に、私たちの横を車が通り過ぎる直前の出来事でした。
車が通り過ぎてすぐ腕を離したことから、車が怖いのだと気づきました。散歩を渋るのは、動きたくないからだとばかり思っていましたが、事故の影響も理由の一つなのかもしれません。痛いとか怖いなどと言えないだけで、いまだにその時の衝撃は妹の中に残っているのだなと痛感しました。
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